車の車検証(自動車検査証)には「所有者」と「使用者」って欄がありますよね。
「これって何となく意味合いは分かるけど、実際のところで何が違うの?」
って、車検証を見た時にふと思ったりする人も多いんじゃないでしょうか。
この「所有者」と「使用者」の違いは車の登録(書類上の定義)では、はっきりしていますが個人での設定の考え方などは正直、曖昧な感じです。
なので、違いを調べても調べるところ(サイトやブログの記事など)によって内容が難しい文章になったり、その人の考え方で少し違ってきます。
何故かというと、陸運支局(軽自動車検査協会)や行政(市役所など)・警察・保険会社などで車検証の所有者と使用者の考え方(定義や意味合い)が少し違うからです。
そこで、おっさんがお客様に聞かれたりした時にいつも説明する「所有者」と「使用者」の大きな違いや設定の考え方を簡単に話していきます。
所有者とは
所有者とは、その車の名義人のことで、所有権を有する人のことです。
簡単にいうと、その車の買った人(持ち主)です。
車でいう所有権とは「売買(名義変更や廃車)」や「車検証の記載(使用者など)の変更」の権限を持っているってことです。
登録でいえば「新規登録・名義変更・変更登録・抹消登録」などの申請が出来るのは所有者だけになります。
使用者や代理人が登録(申請)する場合は、必ず所有者の委任状(軽自動車の場合は申請依頼書)が必要になります。
一般的な個人登録の場合、通常は「車の購入者=所有者=使用者」って考え方で、車検証は所有者(=使用者)の記載が多いですね。
その場合、使用者欄は所有者と同じって意味で「 ***** 」ってなっています。
ローンで購入した時の所有者がディーラーなどの場合
車をローンで買った場合は、クレジット会社や購入したディーラーがローンの支払いが終わるまで所有者欄に記載される場合があります。
このことを「所有権留保」と言います。
「ローンで買ったから所有権が付いている」ってやつですね。
その場合、車検証では購入者は「使用者」になります。
ただ所有権留保の場合、ディーラーなどが所有者になっていても実際の所有者は「購入者(使用者)」という考え方が正解です。
「所有権留保」は、購入者(使用者)が書類上で勝手に車を売ったり住所の変更などが出来なくなります。ただそれだけです。
ディーラーなどが「所有者」だからといって、ローンの支払いをしない場合やローン契約違反が起きない限り、所有者だからといって車を勝手に引き上げることも出来ません。
もちろん、そんな事をすると泥棒になります。大問題ですね(^^;)
それに、ディーラーが所有者になっているからといって車の管理などの所有者の義務なんていうものありません。
トラブルや事故が起こった時の所有者の責任なんてありませんし、所有権留保の所有者の納税義務もありません。
「所有権がある」というよりも家をローンで購入した時の「抵当権が付いている」と同じような感じですね。(ぜんぜん違うかもしれないけど…)
所有権留保に関して、詳しくはこちら↓↓↓
所有者としての車の管理責任(義務)
「所有者」と「使用者」を分けている場合
「トラブルや事故が起きた時の車の管理責任(義務)はどうなるのか?」
って話がよくあります。
ネットなどで調べてみると、車の管理責任は「使用者にあるので所有者には関係ない」と書いてあるサイトや記事などが多くあったりします。
たしかに、言葉だけでいうとそうかもしれません。
ただ、実際にトラブルが起きた時に所有者にも責任が出る場合もあります。
トラブルや事故などの内容や大きさ、所有者と使用者の関係で、実際の運転者(管理者)と車検証上の使用者・所有者の責任の重さ(度合い)は変わってきます。
正直、車検証での「所有者」はあくまでも所有権(財産権)や登録の手続き(使用の管轄地域)の話で、実際の所有・使用(管理)とは、ちょっと意味合いが違います。
だって実際のところ、乗る人や使用者を決めたり外したり(乗る事を許可したり)出来るのは「所有者」の権限ですもんね。
使用者とは
難しく言うと「車両を使用する法的権限を有し、その運行を支配し・・・ゴチャゴチャ」って文章になります。
まぁ、実際に車を使っている人(日ごろの管理者)って感じです。
考え方としては「日ごろの車を管理する義務・責任」があるのは使用者になります。/p>
なので、基本的に交通違反をした時の通知はまず使用者に来ますし、トラブルや事故などの時の責任もとりあえず使用者にあるってところです。
といっても、事故の場合などは車検証の名義人よりも「その時の運転者」の責任になるのが一般的です。
ただ実際は、自動車保険の契約のように「実際に車を使う人を必ず使用者にして下さい」って感じではないです。
正直、車検証上の使用者の権限や義務・責任はあまり強くないです。
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使用者を違う人にする理由で大きなポイント
使用者を所有者と違う人にする理由として「登録事務所やナンバープレートの管轄」です。
登録手続きをする管轄の陸運支局(軽自動車検査協会)は所有者ではなく使用者の住所(細かくいうと使用の本拠の位置)で決まります。
なので、ナンバープレートは使用者住所(使用の本拠の位置)の管轄(地域)のナンバーになります。
車庫証明も保管場所の位置(駐車場)の管轄の警察署で申請しますが、使用の本拠の位置(自宅住所など)と申請者は使用者(住所)になります。
ということで、使用者っていうのは車を使用する住所(ナンバーや駐車場)を決めるための書類上の記載って感じです。
車検証上の「使用者」を記載する(所有者と分ける)一番の理由(目的)は
「書類上(登録や使用住所)で使用者を記載しほうが良い・しないといけない」
ってところですね。例えば個人名義の場合
少し前までの一番多いケースでは「親が所有者で未成年の子供が使用者にする」でした。
未成年者は普通車(登録自動車)を購入して名義(所有者)になる場合には本人と親(親権者)の書類が必要になり書類集めが面倒くさかったです。
なので、親を所有者にして本人(子供)を使用者にするっていうのが一般的でした。
ただ、民法の改正により2022年4月1日から成年年齢が18歳になり、自動車の登録も親権者の同意書なしで名義人(所有者)になれるようになりました。
これからは、登録書類が多くいる(ややこしい)って事が無くなるので、こういったケースで所有者と使用者を分ける事も少なくなると思います。
その他に、「仕事(個人事業主)で車を購入したが、従業人員の通勤にも使わせ管理させるので、使用者を従業員にする」っていうケースもあります。
これは、従業人に車の管理(実際の使用)をさせるが、お金を払ったのは自分なので車検証の名義を分けておこうって感じですね。
あと駐車場(車庫証明)の関係で、実際に乗る人が車の手続きをしたりするので、その人を使用者にしていたほうがイイっていうのも多いですね。
法人名義の場合
やっぱり、「本社(本店)を所有者、支店や従業員(個人)を使用者にする」っていうのが多いです。(っていうか普通です)
理由としては「所有者住所と実際に車を使う地域(ナンバープレートの管轄)が違うので、実際に車を使っている地域で登録したい」っていうのが多いです。
まぁ、ほとんどの場合が駐車場(車庫証明)の関係ですね。
それと会社の車であっても個人(営業マン)が車の管理をしている場合は、違反や事故などがあった場合も車検証上の使用者で処理出来るっていうのもあります。
自動車税の納税義務は所有者
自動車税の納税義務者は所有者になります。
主たる定置場所在(使用の本拠の位置、ナンバープレートの管轄)の都道府県(軽自動車は市町村)から課税されます。
なので使用者が違う場合であっても、使用者住所(使用の本拠の位置)の管轄の都道府県(軽自動車は市町村)から所有者(住所)に納付書が来ます。
使用者を納税義務者に出来る?
ネットなどで調べてみると
- 任意で納税義務者を使用者に出来る
- 登録時に自動車税申告書の納税義務者欄に使用者を書けばOK
っていうような記事があったり、そのような事を言う人もいますが普通では無理です。
上記で説明したように、所有者課税が原則です!
おっさんの経験で、所有権の時や法人(支社独自で登記されている場合)など以外、個人登録などで使用者課税に出来た記憶はないです。
よっぽどの理由でその理由が公的に証明が出来きて自動車税事務所(窓口の人)が認めた場合は出来るかもしれませんけど(^^;)
まとめ
そもそも、車の購入者=所有者=使用者っていうのが一般的な考え方になっているので、使用者を記載するのは書類上(手続き)で何らかの理由があるからって感じです。
なので、実際の考え方としては
- 「所有者」は、車の持ち主(財産権がある)・全体的な車両の管理者・名義人
- 「使用者」は、書類上の使用住所・とりあえずの車の管理者とするための記載
って感じですね。
たまに個人間の貸し借り(売買)や登録(車庫証明など)、自動車保険の手続きの関係で他の人(知人など)を使用者にして
「自分は所有者で使用者じゃないから、何か問題(トラブル)が起きても大丈夫」
って考えの人もいますが、これは大きな間違いです。
あくまでも、車検証の「所有者」「使用者」は、書類上(登録上)の記載で、実際の持ち主や使う人(管理している人)とは考え方が違うとおっさんは思います。
まぁ、車屋の経験からのテキトーな考え方ですが、だいたいこんな感じです(^^;)
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