自動車保険は、車種や等級(割引率)、その車を運転する人の条件(状況)によって大きく保険料が変わってきます。
そして、条件の中で一番保険料が変わってくるのは「年齢条件」で、「全年齢」「21歳以上」「26歳以上」など、若い人が乗るほど高くなります。
その他に運転者の範囲を限定する「運転者限定割引」や「ゴールド免許割引」っていう保険料が安くなる割引があります。
保険の加入や更新の時に必ず確認して、運転者(被保険者)の内容や使用状況に応じて決めていく項目(割引)ですね。
その中の運転者限定割引の「本人・配偶者(夫婦)限定」ですが、配偶者って簡単にいえば結婚(婚姻)している相手(夫・妻)です。
それと配偶者には「内縁関係(内縁の妻・夫)」や「同性パートナー」も含まれます。
ただ、その確認や証明(提出書類)などが必要で、保険会社によってその定義や確認方法(書類)が少し違ってきます。
「内縁関係」に関してはとくに、あいまいな定義や確認方法だったりするんですね!
そこで、保険代理店をしているおっさんが、実際に今まで「内縁関係」で対応してきて思ったことや考え方を説明していきます。
同性パートナーに関しては、そんなに曖昧な感じでなく「パートナー関係に関する自認書兼同意書」の提出って感じの保険会社が多いです。
自動車保険でいう「内縁関係」とは
保険会社によって定義(説明)は少し違いますが
- 婚姻の届出はしていないが、事実上婚姻関係と同様にある者
- 婚姻の届出をしていないために法律上の夫婦と認められないものの事実上婚姻関係と同様の事情にある方
って感じが多く、さらに配偶者としての要件(条件)としては
- 両者ともに婚姻意思をもっている
- 同居で夫婦同様の共同生活をしている
を満たしている場合っていうのが基本になります。
ようは「結婚していないが実際は夫婦の関係(事実婚)」ってところです。
運転者の範囲の内縁関係の定義(考え方)については、とくに難しいこともなく、どこの保険会社でも一般的に思われているイメージと同じやと思います。
ただ、保険会社内のマニュアル(代理店や窓口の人が見るもの)にも、これぐらいの事しか書いてないです。
なので、内縁関係に当てはまるのかどうかっていう判断は、個々の状況や窓口の人などによっての大きく変わると思います。
それに「内縁関係」の状況など具体的な例などの説明も無いので、その定義(解釈)はすごくあいまいにしているところがありますね(^^;)
確認方法や必要書類
一般的に行政(役所)や企業(仕事先)、生命保険会社(保険金受取人)などに内縁関係を証明出来る書類などがあれば、その確認(提出)で問題ないです。
普通に、内縁関係=配偶者って認められます。
ただ自動車保険では、そこまでちゃんとした証明は必要ないことが多いです。
この辺りは保険会社によってかなり違ってきますので、一般的に必要な書類って感じではなく加入する保険会社にその都度確認って感じです。
おっさんの所属している保険会社の確認方法・提出(取付)書類は
- 住民票 (「配偶者(届出なし)」や「未届の妻」など表記の確認 提出不要)
- 健康保険証 (被扶養者の確認 提出不要)
などが基本的な確認書類になります。その他にも
- 結婚式を挙げていれば、その証明や明細書など
- 同居の確認できる公共料金の領収書や同住所宛の郵送物の送り状の控え
などで、事実婚や同居していることが証明出来ればOKな場合も多いです。
証明出来ない場合は?
内縁の妻(夫)って聞くと
「まぁ、人それぞれ、いろんな事情や考え方があるんやろうなぁ」
って、なんとなくおっさんは思ってしまいます。たぶん、みなさんもそうじゃないんかなぁって思います。
なので、マニュアル(定義や解釈)などを読んだりした時に
「内縁関係って分かるような証明を簡単に出せない人も多いんじゃないの?」
って疑問に思ったりします。
実際、おっさんのお客様で内縁関係にある夫婦の人もいますが
「書類的に結婚出来たらしてるよ、出来へんから内縁(事実婚)やねん」
というような感じのケースもあったりしました。
実際に、結婚は出来るけど個人の(夫婦別姓など)の考え方があって事実婚(婚姻届は出さない)っていう人以外は、証明を簡単に出せる人って少ないかもしれません。
ただ、相続や生命保険の受取り人など法律的な事案の場合はちゃんとした証明が無いとダメかもしれませんが、自動車保険の場合は無くてもOKな事もあります。
そんな場合、代理店などの契約の窓口では判断が出来ないので所属支社やその上の支店などに相談(確認や承諾)することになります。
保険会社の契約時など営業側の判断は「公的書類などの確認」よりも「実際の状況(実態)」を優先する傾向にあります。
なので、確認書類が少なくても(中途半端でも)、契約者(お客様)の申告(実態)を優先して内縁関係を承諾する場合もあります。
この辺りは保険会社によってというよりも、窓口やその所属している支社(支店)の決定権のあるエライさんの判断ですね(^^;)
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あくまでも契約者の責任
ココ、けっこう重要なポイントです!
加入時(更新時)に保険会社に内縁の状況を説明して配偶者と認められてOKをもらったとしても正直、絶対OKってわけでもないです。
そもそも、OKをもらったとしても証券に内縁関係(相手の名前)や状況などが記載れれるわけでもなく、他の書類(明細書など)に記載されるってこともないです。
ただ、その保険会社の内縁の定義に当てはまるかどうかの確認をして当てはまったからOKになっただけです。
なので「申請して承諾してもらったから間違いない」っていうものではないです。
保険会社(代理店や窓口の人)は、自分の会社の定義をしっかり説明して最後はお客様に判断してもらうっていうのが実際のところですね。
これは、保険契約全体でも基本で申込書の記載(項目)や保障内容・割引項目は、最終的にお客様に確認してもらって署名してもらうって流れになっています。
もちろん、署名することによって「ちゃんと説明を受けて重要事項説明書も読んで納得(理解)しました」ってことになります。
何故このような話をするのかというと、事故の時「配偶者の範囲」などを判断するのは事故を担当する「損害部」なんですよね。
内縁関係などでトラブル(契約の範囲で支払いが出来るかどうか)になった時などは損害部が保険会社の定義(基本のマニュアル)に従って判断するんです。
なので、契約時(更新時)の窓口の話(確認した内容)などは、実は二の次なんです。
しかも、事故の時にはその都度、その時の内縁関係の書類などを確認提出しないといけないことがほとんどです。
保険会社の考え方としては、保険を使う時(事故の時)に保険会社の定義に当てはまっているかどうかが重要ってところです。
実際のところ、運転者限定を付けても大丈夫?
ここからは、おっさんの勝手な考え方になります。
正直、おっさんはおすすめしていないです。どっちかっていうと「内縁関係であれば運転者限定は付けないほうがいい」って考えです。
保険商品を販売する者(保険募集人)は
「保険内容をしっかり説明して割引が出来る項目に当てはまれば適用する」
っていうのが原則です。必要以上の保障内容で保険料の過剰払いを避けるってやつです。
ただ、配偶者の範囲「内縁関係」に関しては、個々のお客様の内縁関係のケース(状況)が違いすぎて、あいまいな定義では判断出来ないと思っています。
それとおっさんは過去に内縁関係の夫婦のお客様に「運転者限定」を付けて、内縁の方が大事故を起こした時(加害者で)、保険会社(損害部)から
「ちょっと配偶者とは認められないかも。保障外になるかも…」
って言われ、すごい騒ぎになったことがあります。
もちろん、この保険の契約時には自分(代理店)の判断では難しく支社(本部)などに問い合わせ確認してOKをもらっていました。
ただ、契約時と事故時では少し内縁関係の状況が少し変わっていたらしく、事故時での損害部の判断では配偶者の定義(条件)に合わなくなっているって感じでした。
その「内縁関係の状況が少し変わった」っていうのも、おっさんからすれば「何の問題もないでしょう!」ってぐらいの事でした。
結局、いろいろな書類を提出したり損害部とケンカしたりして、なんとか保険金は出るようになりましたけど(-o-;)
でもお客様には、けっこう迷惑をかけてしまいました…
っていうことがあって、おっさんはおすすめしない事を心に決めました(>0<)
正直、限定を付ければ保険料は少し安くなりますが、事故が起きた時のリスクを考えると、お客様におすすめ出来たものではないですね。
まとめ
年々、「事実婚」や「同性パートナー」の事も取り組んでいこうって流れになってきていますが損害保険業界では、まだまだって感じです。
「行政や企業など内縁関係(同性パートナー)に対して取り組んでいるから、とりあえず保険会社もその流れに乗っかっておこう」
っていうのが、保険会社(定義を作るエライ人)の今の考え方やと思います。
だから、自動車保険の配偶者の定義もちゃんとしているようであいまいなんですよね。
最後に、ちゃんとした証明(同居が確認できる住民票など)が出来る内縁関係であれば、まず運転者限定(割引)を付けても問題ないと思います。
ただ、「他(行政や企業)では認められないけど自動車保険ではOKみたい」って感じの内縁関係の状況であれば、運転者限定は付けないほうがイイと思います。
やっぱり最終的にはお客様の判断(状況や考え方)になりますが、現場の窓口のおっさんの考え方はこんな感じですね(^^;)