事故に遭ってしまったお客様(被害者側)から
「今は物損扱いになってるけど病院行ったら人身事故届って出したほうがいいの?」
って事を聞かれることがよくあります。
小さなケガ(軽い打撲の症状など)でも警察に行って物損事故から人身事故への切り替え(届出)をしたほうがいいのかって話ですね。
この辺りの考え方って、けっこう人によって変わってはくるんですが
- 「とりあえず病院にいったら人身事故にしたほうが良い」
- 「小さいケガでも絶対しなくてはいけない」
って言う人も多くて、ネットなどで調べてみても、そういう感じの事を書いているサイト(記事)も多いと思います。
ただ、おっさんの車屋と保険代理店としての経験からいうと
「まぁ、事故の状況にもよるけど現状で相手とモメていなければ、どっちでもええんちゃうかな。本人(当事者)次第ってとこかなぁ」
って感じの考え方ですね。
人身事故届出をしないと保険が出ない?
病院に行ったら小さいケガ(軽い打撲などの症状)でも人身事故の届け出をしないといけないっていう理由で一番多いのは
「人身事故にしていないと保険金(治療費など)が出ない(請求できない)」
で、そう思っている人ってけっこう多いです。
相手(加害者)が加入している保険会社に賠償(治療費など)請求が出来ない(取り扱ってくれない)かもしれないってやつです。
個人サイトではなく弁護士事務所などのサイト(ブログ)などでも、このような事を書いてあることがあります。
でも、警察では物損扱いになっていたとしても、実際にかかった治療費やその他の損害の請求は出来ます。
正直、おっさんが今まで車屋と保険代理店をしてきた中で「警察で人身事故になっていないから保険金が出なかった」なんてことは一度もなかったです。
何故、「物損事故扱いだと保険金が出ない」なんて記事があるのか不思議です(^^;)
ただ、治療(病院通い)が長引いたりすると相手の保険会社が「人身事故ではないから」っていうような言い方で治療打ち切りの交渉をしてくることもはあります。
これは、交渉の中の1つで保険会社がよく使う手法です。
それに、保険会社は保険金の支払いに対して「法律で決まっているので無理」って思わせるような言い方もしてくることが多いです。
そういうことから物損事故扱いではケガによる治療費などの請求が出来ないって思っている人が多いかもしれませんね。
後遺症障害の話になった時に面倒くさいかも
それと、治療が長引いて最終的に後遺症障害の話などになった時には、人身事故扱いにしていないと少し面倒くさくなることもあります。
それは、物損事故の扱いのままだと
後遺症障害の認定や後遺障害等級が取りにくくなったり不利になったりするかも
ってところで、後遺症障害の認定などには「人身事故証明書」が必要になってきたりするんですが、物損事故扱いであればこの証明証はもらえないです。
ただ、人身事故届出をしていないから後遺症障害が認定されないとかって話ではなく、かわりに少し手間がかかったり手続きが必要になってしまうって感じです。
その1つが「人身事故証明書入手不能理由書」が必要になってきたりします。
この理由書の証拠能力や書き方などには、いろいろな意見がありますけど…
でも、物損事故扱いだからといって治療費・慰謝料・後遺症障害・その他の損害が出ない(請求できない)ってことはないです!
人身事故扱いに切り替えたほうが良いケースって?
物損事故から人身事故への切り替え(後日、人身事故届出)をするケースの多くは
車の接触事故でその時はケガ(体の痛み)などもなく警察もけが人なしで物損事故扱いで処理したが、後で体が痛くなって(打撲などで)病院に通うことにした。
って感じで、車の接触事故ではよくあるパターンです。
打撲・むちうち・腰痛などは目で見えないケガは、事故直後では症状が出ず後々になって痛くなることが多いですもんね。
でも、人身事故届出をするかどうか迷う時って
- 事故現場では「相手にはケガは大丈夫」って言っているし、ケガの症状も小さいし
- 相手もかなり謝ってきてるし、人身事故にしたら何となく悪い気がして
- 事故現場が遠く、また遠い警察署に行かなくちゃ行けないし面倒くさい
- 人身事故にすれば実況見分調書を作成した時に自分に過失が出るかもしれない
などなど、事故の状況や相手によっていろいろな思いがあるんじゃないでしょうか。なので
「とくに問題がないなら物損扱いのままでもいいんだけどなぁ」
って人も多いと思います。おっさんの考え方としても
とくに事故相手とモメてなく保険会社も物損事故での治療を了承しているのであれば人身事故扱いにする必要はないかなぁ
って思います。ただ、
- 事故の状況の説明が相手と食い違う、言い分が違う
- 相手(加害者)の言葉に信用性がない、後で話が変わりそうと思う
- 相手の保険会社の説明がなんとなく信用できない、うさん臭い
- ちょっと病院通いが長引きそうで、保険会社とモメるかもしれない
などの心配はある場合は、後でトラブルになる可能性があるので、ちゃんと人身事故扱いにして相手側と交渉したほうがイイと思います。
でもこれって、本人の考えや直接交渉(相手と話)した人しか分からないので、何とも言えないところですね。
治療が長引きそうだと思ったら
とくに、「病院通いが長引きそう」って感じがあるのであれば、人身事故扱いにしといたほうがイイかもしれません。
上記で少し説明したように、治療が長引けば(6か月~)、保険会社は治療終了(示談)か後遺症傷害の話をしてくると思います。
その時に「人身事故扱い」にしているかどうかで治療期間や示談(後遺症傷害)の話の内容も変ってくる可能性もあります。
「物損事故だから、そんなにケガは大きくないでしょ。後遺症なんて残らないでしょ」
って感じの言い方をする保険会社の担当者もけっこういたりします。
本当は、事故の届出(物損か人身)と保険金の支払い額とはあんまり関係ないんですが、こうなると話し合いが面倒くさくなります。
届出をすると逆に自分にデメリットってあるの?
ネットなどで「人身事故扱いにしないデメリット」みたいな記事は多くありますが、逆に「人身事故扱いにするデメリット」って記事は少ないです。
でも、事故の状況や相手側との交渉(話し合い)によっては、人身事故扱いにしたことによってデメリット(損)が生じたって場合もあります。
おっさんも、お客様(当事者)からいろいろ話を聞くことがあって
「事故に遭って周りの人(友達など第三者)から人身事故の切り替えを勧められて届出をしたけど、逆に損をした(不利になる事も出てきた)」
っていうような話を実際に聞いたこともあります。
自分にも過失が出る場合がある
物損事故の場合、警察を呼んでもその場で軽く状況を聞かれて「物件事故報告書」を作成して終わりってパターンがほとんどです。
まぁ、警察からすれば、一応事故の報告(受付)を受理しましたって感じです。
人身事故の場合は、ちゃんと実況見分をして「実況見分調書」が作成されます。
よく見る道路で警察官がいろいろ調べてたりしているやつですね。
物損事故から人身事故への切り替え(届出)をした場合、新たに実況見分をして「実況見分調書」が作成されます。
この時に、被害者側にも過失があると判断された場合、行政処分(違反点数/罰金)が課せられる可能性があります。
例えば、同乗者もケガをしていた場合、被害車両であっても運転者は同乗者に対しての「安全運転義務違反」などです。
相手との話し合いでは完全な被害者だったのに人身事故届出をしたことによって、自分にも罰則(免停や罰金)が科せられたってこともあります。
まぁ、かなり少ない事例やと思いますし、「完全に当てられてる側やのに、そんなことあるかぁ」って思う人も多いと思います。
ただ、事故の状況によって「絶対にそんなことは無い!」とは言い切れないですね。
相手の対応(言い分)が変わる場合がある
相手側(保険会社)など話し合い(交渉)で
「こちらが100%悪いので、物損事故でも全て損害を補償させてもらいます。なので人身事故にはしないようにしてもらえませんか?」
って感じのことをお願いされることもよくあります。
加害者側にしたら、人身事故扱いにはしてほしくないって思うのは当たり前ですよね。
なので、保険会社(担当者)は契約者(加害者)の為にも被害者の人を怒らせずに穏便に事を進めようと努力することが多いです。
でも、人身扱いにされてしまうと今までの対応が何の意味も無くなるので態度をガラッと変えてくることも多いです。
逆に、実況見分で過失がお互いあるなんて事を言いだしたりす事もあったりします。
それと、車屋的な意見・考え方で言うと
「人身事故扱いにしないから、こちらの要望にもちゃんと答えてね」
っていうような、有利な交渉の進め方が出来なくなったりしますね。
まとめ
事故の状況や相手の人の感じ、本人(被害者)の事情など何も考えずに聞かれると
「事故で被害者になってケガをしたら、とりあえず人身事故にしといたら」
って、普通に答えてしまうでしょうね。
ただやっぱり、人身事故届を出すかどうか迷う時って、人それぞれで何か気になることがあると思います。
なので、その状況によって考えて物損事故扱いにそのまましとくか人身事故扱い切り替えるかを、ちょっと考えたほうがイイかもしれません。
正直、事故後の相手側との話し合い(交渉)がスムーズに進んでいるのであれば、物損事故扱いのままでも賠償に関しては問題ないと思います。
ちなみに、後で(けっこう事故日から日にちが経ってから)警察署に人身事故届を出した行った時に窓口の担当者が、
「物損事故扱いのままにしといたほうがイイですよ。本人の為に言っているんですよ」
って感じのことを言ってくる場合もあるみたいです。
ただ、本当に本人(被害者)の事を思って言ってくれる警察官もいますが、8割がたは人身事故にすると手続き(仕事)が増えて面倒くさいからですね(^^;)