最近の車(エコカー)のエンジンオイルって、低粘度の「0w-20」や「0w-16」が主流で、さらに超低粘度の「0w-8」って車種もあります。
ただこれ、新車時に入っているのオイルの指定粘度で、多くの車種では「5w-30」などでも使用可能(推奨粘度が複数ある)ってなっていたりします。
低粘度オイルが推奨だけど、気温や使用状況、車両の状態(古さや走行距離など)によって、状況に適した粘度のオイルを使用して下さいねって感じです。
でも、自分でエンジンオイルを選ぶユーザーからしてみれば、
「どれを選んだらいいの?粘度の違いで何が変わるの?」
って迷うところになっちゃっているんですよね。
そこで「粘度の違いで何が変わるのか」「選び方のポイント」を簡単に説明していきます。
※ 今回は分かりやすく「0w-20」と「5w-30」の比較で、ガソリン車(とくにエンジン回転数が高い軽自動車など)でのお話です。
エンジンオイルの粘度とは
エンジンオイルの粘度とは、オイルの硬さ(粘りっけ)の度合いを示すもの(規格)です。
この粘度の数字ですが単純に、「数字が低いオイルは柔らかい」「数字が高いオイルは硬い」ってところです。
なので、「0W-20」は「5w-30」よりも柔らかい(サラサラな)オイルになります。
そして、一般的に売られているエンジンオイルは「マルチグレード」ってタイプで、低温時(左側)・高温時(右側)の2つが表記されているものになります。
ただ、この低温時と高温時の粘度の数字の差(ひらき)などで、オイルの柔らかさ(性能)が違ってきて、ちょっと難しい話になるので今回は省略です(^^;)
ま~、街乗りの車とかであれば、そこまで詳しく理解していなくても、両方の数字が低くなると柔らかいオイルになるって単純なイメージでイイと思います。
普通の硬さのオイルは「5w-30」
現在では一般的な乗用車(普段使いの車)って、「5w-30」が普通のオイルの硬さ(低粘度オイルからしたら高粘度オイル)ってところになっています。
街乗りなどで使う軽自動車(ターボ有り無し両方)から普通乗用車、仕事で使う営業車まで、いろいろな状況・環境でも幅広く対応出来るといった粘度です。
価格にしても、ベースオイルやメーカーでの性能の違いはありますが普通(今となれば安い部類)の価格帯って感じになっています。
なので、それより粘度の低い「0w-20」などは「低粘度のオイル」って扱いになっていて、エコカーやハイブリッド車に推奨されている粘度になります。
価格帯に関しては、普通の粘度のオイルに比べてサラサラの分、性能自体が少し良くないとオイルとして役割を保てないってところで少し高くなっています。
粘度は「オイルの硬さ」って理解している人は多いですけど、どの粘度が普通なのかってところが分からないって人も多いと思うので、ここがポイントになります。
粘度の違いで何が変わるの?
基本的な話になりますが、エンジンオイルも油なので、温度によって硬さ(粘り具合)が変わってきます。
外気温や走行中のエンジンの回転数によって、オイルの温度が低い時は「硬く(粘っこく)」、高い時は「柔らかく(サラサラ)」になります。
こういう事により、車(エンジン)にどのような影響が起きるのかというと、
- 温度が低いとオイルが硬くなり、エンジンの回転(とくに始動時)の抵抗になる
- 高温時(エンジンの高回転時の維持など)で、サラサラになり油膜として役割が低下する
っていうのが、基本的なところです。
そして、「0w-20」と「5w-30」での違いを簡単にまとめると、
0w-20 | 5w-30 | |
---|---|---|
低温時(冬など) | 抵抗が少なく始動性などが良くなる | 低粘度のオイルよりも悪いけど普通 |
高温時(高回転時) | 油膜が薄いので、油膜切れの心配など少しある | 普通の乗り方ではとくに心配なし |
エンジンの保護 | 保護性能は高粘度オイルより弱い | 安いオイルでもそれなりに安心(普通) |
燃費の影響 | エンジンの抵抗が少なくなるので良くなる | 普通 |
価格 | 少し高い | 普通(安いモノも多い) |
ってところで、低粘度のオイルが高粘度(普通の)オイルと比べてのメリットといえば「燃費向上」と「低温時の始動性」だけやと思います。
あくまでも普通の乗用車(街乗りの使い方)で入れる普通の価格帯のオイルの話になります。
燃費や始動性って分かるぐらいに変わる
一般的な乗り方(街乗りまど)で「0w-20」と「5w-30」で燃費が変わるのか?って聞かれると実際のところは、そんなに変わらないと思います。
始動性にしても、理屈では抵抗が少ない低粘度オイルのほうが良いってなりますが、気持ち程度ってところじゃないでしょうか?
寒い時期でバッテリーが少し弱っていたりする場合などは、エンジンが少しかかりやすくなるかなぁって程度やと思います。
ただ、真冬で氷点下が続くような地域などであれば、粘度によって燃費や始動性の違いがそれなりに体感できるとは思います。
正直、エコカーやハイブリッド車で低粘度オイルを使われているのは、あくまでもカタログ(データー)の燃費の数値を少しでも良くするための1つってところが大きいです。
ベストな状態(新車)で適した環境であれば、低粘度オイルを使用した燃費向上の効果はそれなりにあるよって感じですね。
スポンサーリンク
結局、どっちがいいの?
たぶん、粘度でどっちがいいんだろう?って迷っている人の理由としては、
「新車で入っている粘度は「0w-20」だけど「5w-30」のほうが価格が安いから、入れてもそんなに変わらないんやったら安い方にしたい」
っていうのが多いんじゃないでしょうか。コスパの問題ってところですよね。
おっさんの店でも聞かれたりしますが、そういう理由であれば「5w-30でぜんぜんイイと思いますよ」っていつも答えています。
低粘度のメリットである「燃費の向上」や「低温時の始動性」なんですが、上記で説明したようにそんなに変わるものではないと、おっさんは思っています。
それだったら、価格の安くてエンジンの保護や高温時(高回転時)の油膜切れの心配の少ない「5w-30」のほうがいいんじゃないのって単純な理由です。
それに維持費で考えても、ほんの少し燃費が良くなるけど少し高いオイルを入れ続けるんだったら、燃費は良くならないけど安いオイルのほうがコスパはイイと思うんですね。
やっぱりちょっと性能が気になるって人は?
低粘度のオイルって「高性能で省燃費性能UP!」なんて売り文句にしている商品も多いので、そういうイメージを持っている人は多いと思います。
でもそれは、少し勘違いしています。
たしかに、粘度が低いオイルで薄い油膜を維持させようとすれば、それなりに性能自体も良くしないといけないので、価格も少し高くなります。
ただ、粘度が低い=燃費が良くなる かもしれませんが、=高性能ではなく、ベースオイルが鉱物油などでは低粘度は難しく、最低でも部分合成油ぐらいになるからって感じです。
なので、オイルの性能が気になるのであれば「5w-30」でワンランク上のモノ(部分合成由なら全合成油など)にしたほうが、性能的にもコスパ的にもイイです。
同じベースオイルで、そのメーカーの同等グレードであれば「5w-30」のほうが一般的に価格は少し安いと思います。
走行距離が多くなったら「5w-30」がおすすめ!
走行距離が多くなったきたり年式が古くなってくると、当然ですが車体もエンジンもガタ(劣化)が出てきて、新車の状態とは違ってきます。
エンジン内部も摩耗によって各部品のクリアランス(隙間)も広がってきます。
新車時に比べ「エンジンの音(ガチャガチャ音)がうるさくなった」「エンジンの振動が大きくなった」っていうのも各部の摩耗による症状(ガタ)です。
そうなると、油膜が薄い低粘度のオイルでは、しっかり保護する(隙間を油膜で埋める)事が出来なくなってしまうので、高粘度のほうがイイと言われます。
低粘度オイルから高粘度オイルに変えただけで少し音や振動が治まる事もあったりしますし、その後の安定したエンジン保護にもなります。
ちなみに、どれぐらいの走行距離から粘度を高めにしたほうがイイのかっていうのは、いろいろな意見がありますが、おっさんは50,000万Km~っておすすめしています。
車の古さで言うと、新車から5年~7年ぐらい経っていればって感じですね。
まとめ
正直、燃費だけで考えても普段使い(街乗りなど)の乗り方なら、エンジンオイルの粘度がワンランク変わるぐらいで体感できるぐらいの違いって無いと思います。
やっぱり、「タイヤの空気圧」「定期的な消耗品の点検・清掃」「重い荷物を載せっぱなしに心掛ける」などトータルで取り組まないと、燃費の向上はなかなか難しいです。
それよりも、エンジンオイルで一番大事な役割「潤滑(各部の保護)」を心配しなくても良いレベルを選んだほうがイイと思います。
ここまで読んでもらって「コイツ、やたら普通の硬さのオイルを勧めるなぁ」って思うでしょうけどその通り、おっさんは低粘度オイルの非推奨派です(^^;)
っていうのも、おっさんは中古車屋なんで、中古車でいろんなオイルでの経験があって、その中で低粘度オイルのトラブルってちょこちょこあったりするんです。
だから、低粘度オイルは「万能ではなく選んで(性質を理解して)使うモノ」ってイメージがあって、迷っている人にはあまり勧めたりはしなくなりましたね。