車の登録手続きで必要書類がややこしいのが「所有者の死亡している場合」です。
車の所有者が亡くなられている場合の名義変更や抹消(廃車)の登録ですね。
登録に必要書類や手続きのやり方などはネットで調べると、詳しく説明をしているサイトも多いと思います。
ただ、車の登録に関わらず一般的な相続に必要な書類って感じの説明のサイトが多くて
「ちょっと分かりにくいなぁ、実際には必要じゃない書類もあるけどなぁ」
って感じなので、おっさんがいつもお客様に説明するような感じで説明していきます。
普通車は財産、でも相続に必要な書類は簡素化!
普通車(登録自動車)は土地や資産と同じように財産になりますので所有者が亡くなられた場合、相続人全員の共有財産になります。
なので、名義変更や廃車の登録手続きには相続に関する書類が必要になります。
ただ、車は財産だから相続の書類が必要といっても、実際は土地(家)や銀行預金の相続のように完璧な書類を揃えるって感じではないです。
通常の名義変更や廃車の登録手続きには「車検証に記載の所有者の実印(委任状)と印鑑証明」が必要になります。
所有者が亡くなられた場合は、その書類が発行されないので、その代わりに代替えの書類が相続の書類っていう簡単なイメージです。
なので、車の登録の相続に関する必要書類は、かなり簡素化されています。
実際、他の相続の場合と違って、省略出来る書類が多いですね。←ココ、ポイントです!
相続に必要な書類
とりあえず、その車を相続人が乗り続けるにしても手放す(売却)にしても1度、相続人の名義変更に(移転登録)しなくてはいけません。
相続人に名義変更するやり方(必要書類)は何パターンかありますが、集める種類が少なく一般的に多い(ほとんどの場合)やり方が
「遺産分割協議により代表相続人(新所有者となる相続人)を決めての方法」
ですね。なので、そのやり方の必要書類を説明していきます。
必要な書類
- 死亡の事実および相続人全員が確認できるもの(戸籍謄本(全部事項証明書)など)
- 遺産分割協議書(相続人全員(代表相続人を含む)が実印を押印したもの)
- 代表相続人(1人)の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)
- 代表相続人(1人)の委任状(本人が直接申請する場合は実印を持参して申請書に押印)
- 代表相続人(1人)の譲渡証明書(売却時や同時に第三者に名義変更する場合)
- 車庫証明(代表相続人が、そのまま乗る(使用する)場合)
永久抹消(車を解体してからの抹消)の場合は基本的な必要種類が異なります。
戸籍謄本または戸籍の全部事項証明書など
所有者死亡の事実および相続人全員が確認できる公的書類が必要になります。
- 死亡の確認は「戸籍謄本」「除籍謄本」
- 相続人全員が確認は「戸籍謄本または全部事項証明書」「改製原戸籍」「戸籍の附票」
など、個々のケースによって違ってきます。
なので、おっさんもお客様に説明している中で「どの書類が必要?どう集めたらいいの?」」って聞かれることがほとんどです。
ただやっぱり、亡くなられた人の本籍のある市役所にとりあえず行って
「死亡確認と相続人(全員)の確認が出来る書類がほしい」
って聞いて揃えるのが1番で間違いないです。
ちなみに、家や財産などの通常の相続の場合は、被相続人(死亡した人)の生まれた時からの戸籍謄本などが原則必要です。
本籍を何回か変えている場合は、けっこう大変ですよね。
でも、車の相続(名義変更)の場合は、現本籍(結婚した時ぐらいから)の戸籍謄本などでOKの場合が多いです。
それと車の場合は原則、戸籍謄本などの書類は提出(返してくれない)しないといけないですが、窓口で原本を確認できればコピーでもOKの場合もあります。
ただ、窓口の人によって原本じゃないといけないって人もいますので管轄の陸運支局で確認が必要です。
この辺りは相続書類の簡素化の1つですね。
遺産分割協議書
遺産分割協議書には、相続人全員(代表相続人を含む)の実印が必要になります。
よくネットで調べてみると「相続人全員の印鑑証明も必要」と書いてあるサイトがありますが、代表相続人以外の相続人の印鑑証明は必要ありません。
ひと昔前までは全員の印鑑証明が必要でしたが、現在では省略出来る書類の1つです。
印鑑証明がいらないってことは、実印の確認は不要ってことです。
ってことは、遺産分割書に押す印鑑は実印じゃなくても・・・ゴニョゴニョって感じ(-ε-)
戸籍謄本などに記載されている相続人の住所氏名が違う場合
相続人を確認できる公的資料( 戸籍謄本など)と遺産分割協議書に記入する相続人の住所氏名が違う場合って多いですよね。
結婚して苗字が変わっていたり、住所変更が何回もあったり個々によっていろいろです。
通常(他の財産)の相続であれば、同一人物と証明するために住所などの繋がりを付けるために相続人の住民票(除票)や戸籍謄本なども一緒に必要になります。
しかし、車の相続(登録)の場合は、かなり省略出来ることがほとんどです。
住所氏名が変わっていて、亡くなられた人の戸籍謄本などと遺産分割協議書の相続人と同一人物と判断が難しい場合でも書類を省略できることも多いです。
これは、個々に申請(登録)する書類の内容や登録窓口の人の判断で「繋がりを付ける書類が必要、不要」ってなる感じです。
まぁ一応、ちゃんとしたルール(判断の条件)はあると思いますけど(^^;)
ただ、住所の繋がりが付かないぐらいであれば、何もいらないですね。省略できます。
相続人の中に未成年がいる場合
一般的な家(不動産)などの相続の場合は、相続人の中に未成年がいる場合、「特別代理人」を選任してもらわないといけないです。
これは、親(親権者=未成年者の法定代理)も相続人の1人で未成年(子ども)との間で「利益相反行為」になるから、どうのこうのってやつです。
この辺りは車屋では分からないです(^^;) ググって下さい…
車の相続も一緒で、遺産分割協議書にその未成年に代わって「特別代理人」の押印が必要になります。
他の相続(不動産など)で未成年の人に特別代理人が選任されていれば、とくにややこしいことはないと思います。
ただ、特別代理人が選任されていなければ、車の相続の登録だけのために特別代理人の手続きをしないといけないです。
コレ、けっこう面倒くさいと思います。
なので、このような場合は遺産分割協議書を作らない(いらない)相続のやり方が出来れば、そっちのほうが簡単で
- 共同所有にする(代表相続にせず相続人全員で所有者になる)
- 遺産分割協議成立申立書を使う(下記で説明)
ってやり方があり、コレはコレで他に書類が必要になってきますが、特別代理人の手続きをするより費用と手間がかからないと思います。
車の価額が100万円以下の場合
車両価額(流通・査定額など)が100万円以下の場合は遺産分割協議書の代わりに、より簡略化された「遺産分割協議成立申立書」というものでもOKです。
この「遺産分割協議成立申立書」は、代表相続人(新所有者)の記入・押印(実印)だけで、他の相続人の記入・押印は必要ありません。
「相続人の間で遺産分割の話は出来てるけど、遺産分割協議書に全員の押印をもらうのは困難」ってケースには便利ですね。
ちなみにこの「車が価額100万円以下であることを確認できる資料」をどうやって手に入れるかというと
- 知り合いの車屋がいれば事情を説明して書いてもらう
- 買取専門店などに査定をしてもらって書面で査定書(見積書)をもらう
って感じが確実で簡単ですね。
他に、雑誌(ネット)などで、同じ内容の車の販売価格が書かれているページを数台分切り抜いて添付するって方法もあります。
ただ、この方法は窓口の人によってOKかどうかの判断が違ってきたりします。
それと、「遺産分割協議成立申立書」自体は全国の陸運支局でOKとなっていますが、これもまた窓口の人や管轄の陸運支での判断が微妙な場合があります。
地域によって不可の場合もあるという話もたまに聞いたりします。
なので、車の価額が100万円以下の場合であっても、書類が揃えれるのであれば「遺産分割協議書」のほうがいい良いと思います。
その他の書類
相続人同士で相続の話が上手くいかない時(トラブル)などで、「遺産分割協議書」「遺産分割協議成立申立書」の作成が無理(困難)な場合
- 遺言書
- 遺産分割に関する調停調書
- 遺産分割に関する審判書
- 判決謄本
などが代替え書類になってしまいますが、この辺りは司法書士(弁護士)の分野になってきますので車屋では、ちょっと分からないです(^^;)
代表相続人の委任状と譲渡証明書
他の相続と違って車の登録で必要な書類や実印・印鑑証明は
- 亡くなられた人の必要書類(譲渡書類)は「戸籍謄本など」「遺産分割協議書」
- 代表相続人(新所有者)の必要書類が「委任状(実印)・譲渡証明書」「印鑑証明」
って考え方ですね。
そして、相続の場合は、必ず相続人(代表相続人)に1度、名義にしないといけません。
なので、代表相続人に必要な委任状(実印)や印鑑証明は、通常の名義変更や廃車手続きに必要な書類と同じ考え方です。
代表相続人(新所有者)が、そのまま車の名義人になって乗り続けるのであれば、第三者(車屋など)に売らないので譲渡証明書は必要ないです。
「売却」や「第三者にさらに名義変更しての廃車」などの時には、代表相続人は1度、所有者になりますので譲渡証明書が必要になります。
通常の名義変更・廃車に必要な書類は ↓↓↓
車庫証明
代表相続人(新所有者)の名義にして乗り続ける場合は、通常の名義変更と同じで「車庫証明」が必要になります。
ただ、新旧使用者の住所(使用の本拠の位置)に変更がない場合は車庫証明書は不要です。
例えば、亡くなられた人と代表相続人(新所有者)が同居の場合は、氏名(名称)変更だけで車検証の住所の変更がないので車庫証明書は不要になります。
それと、売却(車屋など第三者)や廃車の場合も車庫証明は必要ないです。
代表相続人に1度、名義変更するといっても書類上だけの手続き(処理)になるので抹消登録(譲渡)と同時にするのであれば不要です。
まとめ
車の所有者が亡くなられている場合の名義変更(相続)は、通常の車の登録よりも書類が多くなりますが、不動産など一般的な相続に必要な書類に比べれば、少なくて簡単です。
ただ、個々のケースで必要書類がかなり違ってきますし、管轄の陸運支局(窓口の人)で対応が少し違います。
なので、おっさんもそうですが車屋の多くは
「ややこしそうな相続であれば1度、陸運支局に書類を確認してもらう」
って考え方が多いです。やっぱり手間はかかっちゃいますが確実です。
まぁ、車屋は陸運支局に行くことが多い(仕事)ので、何かの用事で行く時についでに聞いておこうって感じですけど(^^;)
その場合、手続きで揃える書類の順番としては、亡くなられた人の戸籍謄本(相続人が確認できる書類)などが最初です。
そして、その書類を持って管轄の陸運支局の相談窓口で、その他に何の書類が必要なのか教えてもらうのが一番無駄のない書類の揃え方やと思います。
自動車の登録や必要書類についてはこちら ↓↓↓