自動車事故で、相手側(保険会社)に車の修理代を請求(賠償請求)できる時に
「車は修理しないけど修理代(損害分)だけってもらえるの?」
ってお客様から聞かれることがあります。たとえば
「この機に車を乗り換えよう」とか「他にキズもあるし別に直さなくてもええかな」
って場合でも、お金(損害分)だけもらえるのかっていう疑問ですね。
このような内容に関しては、いろいろな質問サイトや自動車保険の専門サイトでも詳しく説明されていると思います。
ただ正直、どのサイトもだいたい同じような内容(説明)やなぁって感じです。
でも、おっさんからすれば少し車屋の考えと違うなぁって思うところがあるので、実際に修理しない場合の保険会社と交渉などのお話しをしていきます。
普通に出来る!むしろ相手の保険会社は望んでいるかも?
損害保険会社は「損害(賠償)額を支払う」っていうのが基本的な仕事です。
自動車保険もその1つで修理をして元の状態に戻すのが目的ではなく「損害額」を決めて支払うのが目的(役割)です。
なので、示談(事故終結)して保険金の支払いをすれば後の事は本人次第(好きにして)という考え方の保険会社がほとんどです。
もちろん、お客様(相手個人)に絶対にそんなことは言ったりしないですけどね(^^;)
通常の車を修理する場合は、修理しながら修理代やその他の費用などを話をしながら保険会社と車屋(修理屋)で最終的に協定(総支払額を決定)します。
その時の交渉(協定)の内容としては
- 保険会社の担当者(アジャスター)は少しでも安く(安めの修理代金で)
- 車屋(修理屋)は少しでも高く(工賃など)
て感じです。よくある普通の金額交渉です。
しかし、修理をしない場合などは、概算見積りだけで修理代(損害額)を協定するので支払額が低くなることが多いです。
結果、損害額を支払う保険会社からすれば通常の修理をして協定をするより保険金を安く抑えれる事が多いって感じです。
なので、ほとんどの保険会社が「修理はしないけど損害額を支払って」という申し出に「ダメです。修理して下さい」などの返事はほとんどしてこないですね。
概算見積りだけでは安くなってしまうことが多い
それでは、なぜ支払額が安くなってしまうのか?
通常、修理する場合の車屋と保険会社のやりとりで、車屋(修理屋)に車が入庫したら1番最初に保険会社のアジャスター(修理代を交渉する担当者)が見に来ます。
ただ、「損害が分かりやすい」「修理見積りの金額が低い」場合などは写真などでのやりとりになる場合が多いですね。
そして、アジャスターがとりあえず先に概算見積りを作る場合が多いです。
まぁ、アジャスターが作る概算見積りは最低必要な修理見積もりって感じです。
その見積りに対して車屋は
「ここの箇所の修理が抜けている」「この部品も交換しなくてはいけない」
など、修理しながら追加の部品・作業などを加えていきます。
「概算見積もりでは修理(板金)の予定だったが、やっぱりキレイに直らなそうなので部品交換した」
っていうのも、普通によくある話です。
そして、修理完了後に車屋が実際の見積り(請求額)をアジャスターに提出します。
車屋によっては保険会社作る概算見積は安いので完全無視して自分のところの見積だけの金額で交渉するところも多いですけどね(^^;)
最終的に、アジャスターはその見積りを見ながら保険会社としての見積りを作り直し、お互いの見積りの金額の差を交渉しながら協定(支払額の決定)をします。
この時に修理日数に対する代車の貸出し日数も交渉して決めたりすることが多いです。
しかし、修理せずに概算見積りだけで協定する場合は、アジャスターが作る概算見積り(最低必要な見積もり)で決まってしまうことが多いです。
この見積りはアジャスターの考えで安く作るのではなく、一般的に使われている修理専門の見積りソフトで作ります。
見積り自体は正確な一般的な修理金額になりますが、あくまでも破損(キズや凹み)を外観から見た基本的な概算見積りになります。
なので、「もしかしたら裏側も凹んでいるかも」などの想定もなく、一般的な基本(必要最低限の交換部品・作業工賃/時間)の見積り金額になっちゃいます。
それに、実際に修理しないので
- 「ここの部品はたぶん交換しないといけない」
- 「ここの鈑金は難しくて時間がかかるので工賃が通常より高くなる」
- 「実際に鈑金(塗装)していくと、見積もりより広範囲の作業になる」
などといった、作業の流れの中での追加で発生した費用についての話も出来ないです。
正直、こちらが側(車屋)が出来る事といえば、概算見積りに抜けている修理項目・部品がないか入念にチェックしたりすることぐらいです。
それと、レバレート(時間工賃)を少し上げてもらえるように交渉することぐらいですね。
もちろん保険会社が見積りせず、こちら側(車屋)から概算見積りを出すことも多いのでほとんどの車屋はより正確な見積りを出すようにしていると思います。
おっさんの場合は、保険会社が概算見積りを出してきてもほとんど無視して、こちらで作った概算見積りの内容で交渉しますね。
しかし、どっちにしても概算見積りでは実際に修理して出した修理金額よりも安くなってしまう場合が多いです。
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代車費用が請求出来る場合もあるけど基本的には難しい
代車費用に関しては、ネットで調べたりすると
- 修理しないのなら代車請求は出来ない
- 実際に代車(レンタカー)を借りてないから無理
というような意見がほとんどですね。たしかにそのとおりです。
基本的には、実際に借りていない(発生していない)代車費用を支払う義務は保険会社(加害者側)には無いです。
ただ、実際には損害額(修理代)から想定した日数分の代車費用を支払ってくれる保険会社もあったりします。
レンタカーを借りた場合の費用はさすがに無理やと思いますが、車屋(修理屋)のサービス代車などの費用は出してくれる場合もあります。
事故の状況やその時の交渉の仕方や保険会社の考え方でけっこう対応が違ってきます。
「こういう交渉をすれば代車費用がでる!」っていうやり方はないですが、絶対に代車費用は請求出来ないということはないです。
実際には保険会社もサービス的な感じなので値切られたりもしますけど…
ただ、車屋と本人(個人)では保険会社との交渉の仕方が全く違うので本人が直接交渉する場合の代車請求は難しいかもしれませんね。
修理代以外の費用は認められない場合が多い
保険会社との交渉の中に修理費用以外にその他の項目で請求することがあります。
- マイナーパーツ費用
- 修理箇所(作業中)の写真撮影費用(手間代)
- 修理作業による汚れの車内清掃費用
- 各点検・調整費用(動作・システムチェックなど)
など個々のケースによりいろいろです。
これも、実際に修理する場合は車屋(修理屋)が保険会社によくする請求です。
保険会社はこのような費用に関しては実際に修理する過程で必要になった費用として支払うという考え方です。
なので、修理しない場合の上記の費用などは「損害費用」としては認めらず支払われない場合も多い(ほとんど?)です。
よくあるナンバープレートの破損や曲がりによる「ナンバープレート交換費用」は実際に交換した証明(領収書や引換証)が必要となる保険会社がほとんどです。
なので、これも交換しない場合は請求が認めらることはほとんど無いです。
消費税は認められない?
当たり前かもしれないですが、修理をしない場合の概算見積もり内容の「部品代」「作業工賃」に対しての消費税の請求は基本的には認められません。
あくまでも実際に修理した(部品を買った)時にかかる税金でなので、損害額(賠償額)に中には含まれないって感じです。
なので、損害額が大きくなればなるほど比例して消費税の額も大きくなるので、実際に修理する時と比べると支払い額はかなり少なくなりますね。
ただ実際のところは、消費税も普通に支払ってくれる(何も言ってっこない)っていう担当者もいるので、保険会社したらどっちでもって感じなのかもしれませんね
まとめ
正直、保険会社からしてみれば、きちっと修理して代車代やその他の費用も請求さるよりも概算見積りのみの計算で請求されるほうが有り難いと思っているはずです。
保険会社は保険金の支払いで重視するところは
- 保険金の支払総額
- 保険会社が妥当と思える内容の損害額(見積額)
です。正直、車の出来上がり(仕上がり)状態の良し悪しや実際に修理をするかしないかなどは、どっちでもって感じですね。
修理後の仕上がりに関してなんかは、お客様と修理する車屋の間での話で保険会社には全く関係ないと思っています。
それと保険会社(アジャスター)によっては、交渉が保険会社に有利になる「修理をしない場合の概算見積りでの損害請求」では、とことん安いことを言ってくることもあります。
「直さんからってガッツリ足もと見てくるなぁ…」
って感じのいやらしい対応もたまにあったりします。
車屋も通常より安い見積りを出してくる保険会社の言いなりになるのは悔しいので、いろいろな理由をつけて少しでも条件が良くなるように交渉をします。
しかし、概算見積りだけでは実際に修理した場合よりも低い請求額(損害額)での協定になってしまうことがほとんどです。
車屋からしたら、車屋を通さず個人(ユーザー)と直接交渉の場合は「どんだけ安くさせられるんやろ?」って、たまに思ったりしますね(-0-;)